弁護士ブログ

2005.04.29更新

 陳述書とは、裁判に提出する書証のひとつで、主に事件関係者の主張を文書化したものだ。
 原告、被告、証人候補者などについて、事前に陳述書を出し、これをもって法廷での尋問時間短縮を実現する、という機能も有している。

 多分、裁判官は陳述書を信用していないだろう。
 だって、契約書、領収書などの裁判になる以前に客観的に存在した書証と異なり、陳述書は裁判の原告や被告の代理人が関係者から事実や意見の聴取をした上で事後的にまとめたものだからである。
 陳述書には、提出側にとって都合の悪い事実など、通常、書かれない。
 だから、私も、相手方が提出してきた陳述書は、信用しないし、尋問のネタを拾うことにのみ利用しているというのが実際だと思う。

 ただ、陳述書の信用性が全くないのか、といれば、それは間違いである。
 代理人が自身の信用性を賭けて作成し、あるいは作成に関与し、裁判に提出したものである。
 おおっぴらに間違いだらけのものは出せないのだ(弁護士としての信用性が毀損されては、裁判所での仕事が出来なくなる)。弁護士は、国選弁護人、破産管財人、個人再生委員など、裁判所からもらう仕事もあるので、裁判所に嘘をつけるわけがない。

 私の場合も、都合の悪い事実はあえて書かないことがあるが、嘘は書かないし、書けない。
 ただ、ある裁判官に聞いたら、陳述書が出る前に、すでに心証は決まっている、という。
 陳述書を過度に信頼することは、間違いだが、参考程度にはなるだろう。
 この程度に陳述書の証明力を考えているほうが、実は、無難なのだ。
 作るのは、大変なのにね。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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