自宅の引越し前日、次男が入院した。前触れもない出来事であった。
幼少ゆえ、大事にならないようにと大学病院の勧めに従い、次男は診療後即入院手続きをとり、私が一日病院に泊まった。
次男は、突然、母親と離されたことがショックだったのか、私のことを忘れ、ただひたすら「ママー、ママー」と夜中ずっと泣き、泣きつかれて寝たのは午前3時だった。
翌日午前7時ころ起床した次男は、またママーと泣いたが、母親が病院に到着して面会したために一瞬にして泣き止んだ。ただ、この日は引越し当日。
やむなく、義母(次男の祖母)を付き添いに残し、私と奥さんは自宅に戻り、引越し業者の皆さんと到着を待ち、引越し作業に没頭したのだった。
引越し作業とは、とても辛いものである。私は、大学生のときと司法試験受験生だったときに引越しのアルバイトをしていた。
とてもきついバイトだった。重く、私から見たらどうでもいいような荷物を引越し先に持っていこうとするお客さんの神経には、よく疑問を持ったものだ。
引越しバイトをしていたとき、一番うれしかったのは寸志をもらった時だ。
だから、私も重い荷物がある私の引越しには欠かせないだろうと思い、作業開始前に(ここが大事!!)引越しのおっさん、おにいさんに寸志を配った。
また、転居先での作業再開時にも、今度は「奥さんからだ」と言って、再び寸志を配った。
引越し業者さんの仕事が、私から見ても、大変丁寧であり、かつ、思いやりのあるものであったかは、もはや説明するまでもないだろう。
おかげで、引越しは無事完了した。
あとは、元の自宅そばで入院した次男を新居そばの病院に転院させること、部屋いっぱいに積み上げられた荷物の処理をやればいいだけだ。
でも、私には、休みがない。