弁護士ブログ

2005.10.25更新

 最高裁判所は、家庭裁判所の調停委員の任命権を持つ。
 新聞報道で、この調停委員に外国籍を有する弁護士の就任を最高裁判所は認めていないとの記事があった。調停委員に外国人の就任を認めるか否かについて、つまり、外国人の公務就任権の範囲については争いがあり、権力的公務(裁判官、検察官、警察官など)については認めず、学術的な職務(大学の先生など)については認めるという権力的公務か否かのメルクマールが一般的であると受験生時代に覚えた記憶がある。

 調停委員は裁判官と調停委員会を組織し、その発言権は裁判官と同様であるから、国家意思の形成に関与し、権力的公務にあたると最高裁判所は判断しているようだ。
 
 しかし、私も東京家庭裁判所や東京簡易裁判所にはお世話になるが、調停委員が権力的だと感じたことはないし、私の同僚弁護士で東京家庭裁判所の調停委員を務める弁護士は、「権力的」でない。
 調停委員の本質的な職責は、当事者の話を真摯かつ丁寧に聞き取り、当事者間において妥当かつ合理的な解決を話し合いによって導き出すことにあるので、審判手続きになった場合に排除すれば外国人にも門戸を開くことは十分に可能であると思う。

 最高裁判所の運用は、法律違反でもないが、法律に合致したものともいえないのではないか。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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