弁護士ブログ

2006.01.25更新

 テレビのスイッチを付けると、堀江容疑者の報道が過熱気味だ。
 報道内容が随時更新されていることからすると、捜査機関が意図的に情報を流しているのかもしれない。特に,押収物である多数のメールが流出していることは、捜査機関の協力なくしては無理だろう。

 問題は、報道されていることで被疑者の言い分がない現段階で、心証として「クロ」と看做していいのか、ということだ。マスコミ裁判という言葉があったっけ。
 私は、今、以前、大々的に新聞報道された事件の刑事弁護人である。NHK、民放、インターネットmニュースで報道された内容は、被疑者が主犯・黒幕というものであった。
 しかし、少なくとも公正に予断なく刑事記録をみると、被告人が「主犯」「黒幕」であるということは断じてない。これはここ5年間で100件ちかい刑事事件の弁護人を務めた私の確信である。
 
 新聞やネットには、堀江氏の事件を報道する際には、両論併記というか堀江氏の言い分・説明を報道するように求めたい。これが公正な言論というものだ。

 ところで、堀江氏が調書への署名拒否していることは刑事弁護人としては非常に正しい態度だと思う。
 この点も、マスコミは批判的であるが、それは間違い。密室の取調べほど、力関係に差があり、捜査官の資質如何では大変ひどい取調べが行われる。
 しかしながら、そこで作成された調書の証拠能力は、公判廷での証言以上の証拠価値を認められてしまうのが刑事裁判の実態だから(この実態は、絶対に間違っていると思う。個人的には、刑事訴訟法第321条第11項第2号、3号は廃止すべきだと思う)。

 無論、事件が「真実」とすれば(まだ、分からない)、堀江氏の今後の人生は「時代の寵児」ともてはやされたころとは雲泥の差がでる人生となるだろう。
 容疑の真偽は不明なので、あくまでも仮定的である。

 悪事は必ず暴かれる。
 「天網恢恢疎にして洩らさず」なのである。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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