私の仕事は、民事事件が大半を占めるが(そうでないと、事務所が維持できない)、刑事事件もよく受任する。
最近では、告訴して欲しいという依頼を受けることが多くなった。
告訴とは、被害者が加害者に対して刑事訴追をする意思を示して捜査機関に犯罪事実を申告することであるが、これは結構デリケートな仕事である。
一般的に、被害者は、被害事実を甚大に主張しやすい。これは、被害を受けている以上、被害者感情の観点からもある意味当然であり、特に悪いことではない。しかし、証拠がない主張も多く、立件が難しいものは、告訴できない。
また、告訴があくまで犯罪事実を申告して処罰を求める、という目的よりも、どちらかというと民事的解決の道具のような手段とする場合には、警察署もあまりいい顔をしないことも多いし、依頼者も過大な期待を抱きやすいので注意が必要である。
そして、最大の注意点は、虚偽告訴罪(刑法172条)の存在である。依頼者としてみれば、「虚偽」でないが、専門家としてみれば、証拠関係上、どう考えても「虚偽」ではないか、と疑いを持たざるを得ないものがないこともない。虚偽告訴は、告訴行為というものとは言えず、それを見破れない弁護士も弁護士ではないといえるので、注意点というべきではないかもしれないが、告訴が常に受理されるというわけでもなく(実は内容証明郵便形式での告訴は、必然的に受理されるのではないか、と最近気が付いた)、合理的な告訴と犯罪的な虚偽告訴との境界線は常に意識しておくのも、職業上、やはり注意点とみていいのではないか、と考えている。
2006.11.27更新
告訴状を作るときに気をつけること
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