弁護士ブログ

2007.01.21更新

 三森敏明です。
 強姦未遂事件の被告人として実刑判決を受けた方が実は「無罪」であったという報道に接しました。
 富山県警は捜査ミスを認め、富山検察庁が再審を申し立てるという。
 
 通常、被告人が実刑になるためには、警察官、検察官、弁護士(弁護人)、裁判官の事実認定を突破しないといけない。被告人は任意捜査当初は、容疑を否認していた、というのだから、逮捕後に自白を強要された疑いが濃厚である。
 しかし、この事件は、容疑を裏付ける客観的証拠がなく、むしろ現場に残されていた足跡が被告人のものと一致しないとか、犯行当時に自宅から電話をかけた証拠があるなど自白のみで有罪認定をすることは危険である(そもそも、自白のみでは有罪認定はできないという自白法則があるが)事実も分かっていたのだが、偏見と決め付けの捜査がなされ、結局、被告人の味方の弁護人も公正な立場にいる裁判官も見抜けなかった。
 
 何でこんなことが起こるのだろうか。
 やはり、刑事裁判では、刑事裁判における無罪推定の原則(疑わしきは被告人の利益に)という基本が蔑ろにされているということと、起訴に対する過度の信頼と被告人に対する偏見があるということなのだろう。

 自分も、今後の刑事弁護活動において肝に銘じたい。

 被告人だった方は、行方がわからないという。冤罪被害を受けて人生を捨ててしまったのだろうか。そうだとしたら、富山県警の責任は極めて重い。当時の捜査担当者は処分されるべきだ。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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