弁護士ブログ

2007.01.17更新

 格闘家である秋山さんがK-1から桜庭選手との試合で禁止されているオイルを体に塗っていたことにより、故意ではなかったものの許されることではないとして、今後の試合については無期限出場停止処分から出場できなくなった。

 大晦日の晩に私もテレビで観戦していたけど、総合格闘技の世界は選手が命を落とすかもしれないくらいの危険を覚悟で戦っているのでがあり、絶対に違反行為はしてはならない。何かがあったあとでは、取り返しが付かないからである。
 ただ、一度、決めた処分(失格。ファイトマネー没収など)に対して、更に追加で今度はルール上はできないはずの(取決めがない)「無期限出場停止」まで責任者の独断で決定してもいいのだろうか。

 「無期限出場停止」というのは、選手の活動・表現活動を完全に認めないことであり、総合格闘技の選手の選手生命が短いことも考えれば、秋山選手の選手生命を失わせることにも繋がりかねない。試合にでれない選手にとって、鍛えることのモチベーションを保つことは難しいと思う。
 秋山選手は、引退してしまうかもしれない。
 
 もちろん、桜庭選手に対する違反行為は許されるべきではなく、当然、秋山選手分は何らかの重い処分を受けるべきではある。
 しかし、法律家としては、事前に取決めのないルール上も認められないはずの最高刑以上の最高刑を独断で選手に科す、ということをどう合理的に導くか、という観点からは、腑に落ちないとしかいいようがないのである。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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