弁護士ブログ

2007.06.24更新

 どうやら、夏の参議院選の事実上の争点は年金問題になりそうである。

 年金が老後の生活設計を支えるものであること、長年の勤勉な納付実績を反映する制度であることから、その年金への信頼が揺らぐことが政権への信頼を損なうことになる、という意味で選挙の争点になるのは、至極当然である。
 私の世代(30歳後半)は、年金支給時期が遅くなり(60歳から65歳)、年金納付額が増えても年金支給額が減る世代であることから、年金に関しては結構悩ましい世代である。また、年金納付を勤勉に行なってきた記録が廃棄されていた、とか電子化されていなかったとかの「不祥事」を聞くと、もはや「やってられない」という気持ちにすらなる。

 ただ、反面でどうせ年金支給開始は、20年以上先の問題であるし、年金納付記録を全て保管している私としては、あんまり昨今の年金問題について大きく気にはしていないのも事実である。さすがに、政治責任として、年金納付記録が「紛失した」状態がそう長く続くとも思えないし。

 むしろ、私が年金問題の中で深刻だと思うのは、「1年間で5000万件に及ぶ年金納付記録の照合をする」などという絶対に不可能な説明ないし公約を政権が行なっている、という点である。無理なものは無理と言えばいいのに(また、多くの国民にとって、年金の納付記録が明らかになる時間が1年だろうか3年だろうが大差がないのも事実)、「1年でやります」などと平気で嘘をついている点である。さらに、年金記録の照合に際してかかるコストについて明確な説明がないのも、いただけない。これこそ、無責任であろう。
 
 年金問題についてその場限りの説明に終始してお茶を濁すのもよくないし、これを選挙の最大の争点にするのもよくない。国民としては、どうして年金問題が起こったのか、そしてそれを改善するにはどういう風にすべきなのか、についての明確な説明が欲しいものである。
 そうでないと、国民年金、共済年金、弁護士国民年金という年金の種類をまたいだ経験を持つ私としては、今後は年金掛け金など納めたくなくなってしまうと考えてしまうのである。
 

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

SEARCH

ARCHIVE

  • ヒューマンネットワーク 三森法律事務所
  • 弁護士ブログ
  • ヒューマンネットワーク 三森法律事務所
  • 弁護士ブログ