ある依頼者は、弁護士会の法律相談を受けて、
「あなたの場合は、破産しかないね」
と相談していた弁護士から言われてショックを受けて、一緒に相談を受けていた奥さんと相談のうえ、その弁護士さんに依頼せずに、
「ダメ元でもいいから」と再相談をして、たまたま私に当たった。
私は、「正直に事実を話してください」と言った上で、取引履歴や闇金の存在を聞き取り、
「たぶん、過払い金がプロミス、武富士、アイフル、アコムからそれぞれ、100万円から300万円くらいは戻ってくる。その結果を見て、破産するかどうか決めたら」
と伝え、そのまま受任した。
今から、4年前のことである。
実際に、取引履歴を業者から取り寄せて、合計800万円の過払い金を取り返し、そこから他の債権者への弁済(2割カットくらい)、弁護士費用を控除して、最終的に数百万円を
「どうぞ、で、破産するの」
「いえいえ、どんでもないです。このお金で妻と温泉に行き、うちのリフォームをします」
という会話があって、彼らは帰って行った。
今から4年ほど前の話である。
そして、最近、その依頼者の訃報を聞いた。
奥さんいわく、依頼者は「あのときに自分の借金整理ができて、家族に家も残せて、くれぐれも先生にはよろしく言っておいてくれ」と言い残し、逝ったという。
ご冥福をお祈りします。