弁護士を9年もやっていると、突然、刑事弁護を依頼されることがある。
最近、裁判員制度の導入がきまり、被害者参加制度、国選被疑者弁護の拡充、新たな犯罪の新設など刑事司法の改正が目白押しである。
しかし、弁護人としては、やることは決まっている。
まずは、被疑者、被告人から事情を詳しく聞くことである。
とにかく、偏見を持たずに事情を聴くことである。
とかく、逮捕された被疑者は、動転して普段なら簡単に伝えられることがなかなか伝えられないということがよくある。
こういうときに、弁護士が「何を言っているかわからない」などと怒ってしまうと、余計、事情がわからなくなる。
また、刑事事件は、供述証拠が作られる前の、初めの段階が肝心である。
だから、とにかく、呼ばれたらすぐに警察署や拘置所に向かい、事情を聴くのを優先しなければならない。
今回の依頼者は、知り合いであった。
被疑者が知り合いだと、実は、とってもやりにくい。
信頼関係はともかく、自分にどうしても予断が介入し、話や証拠を客観的にみれない恐れがあるからである(また、知り合いは、弁護士の仕事を過大に評価する傾向にあり、またこれがやっかいだ)。