弁護士ブログ

2009.08.26更新

 先日、元アイドルで女優の酒井法子氏が覚せい剤取締法違反で逮捕された。

 夫が先に逮捕され、その後に失意の失踪があった、などとマスコミの格好のネタになることから始まり、その後に続く過剰なまでの報道は、もはやだれもが知るとおりである。

 捜査機関がリークしていると思われる報道内容が事実であるとすれば、酒井法子氏と同時期を生きた者として(私は40歳、酒井氏は38歳)、たいへんに残念ではある。

 ただ、事実がどうなのか、その供述のニュアンスはどうなのか、共犯関係に立つ夫の弁護人と妻の弁護人が同一であるというあまり一般的ではない状況を前提にして夫の事実説明を「真実」と見なしながらの事実認定については、もっと報道機関は注意を払うべきである。

 また、ここ毎日はずっとテレビは酒井氏の話題を取り上げ、かなりの報道時間を割いているが、それでいいのだろうか。
 8月30日は、ほぼ確実視される政権交代が起こり、日本の政治が変わる時期なのだから、もっと政治や選挙報道等に時間をかけるべきではないか。

 酒井氏、その夫には小学生の子供がいる。
 しかし、報道には、この子供へ配慮があまりない。
 だけども、犯罪報道でいつも犠牲になるのは、被害者と加害者の家族である。
 覚醒剤取締法違反は、被害者がいないので、いきおい、犯罪報道の「被害者」は容疑者の親族となる。

 酒井氏の子供は、しばらくの間は日本では生活できない気がする。
 また、これだけ毎日、父と母について人格を否定する報道が続くと、お子さんの精神状態が心配になる。

 彼は、これから多感な時期を迎え、いろいろなものを学ばなければならないのに、たぶんしばらくは日本にはいられないだろう。

 酒井氏の犯罪自体は、十中八九、仮に起訴されても執行猶予がつく。法曹関係者で酒井氏が実刑になると考えている人は、いないだろう。
 これほどの社会的制裁を受けているし、初犯だからである。

 しかし、酒井氏は民間人としても社会復帰できるだろうか。
 
 今は、マスコミ裁判のような状態であり、私はマスコミ報道はかなりの部分でやりすぎであると思う。

 東野圭吾氏の「手紙」を読むと、犯罪者の家族のつらさがよくわかる。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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