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2014.03.31更新

自己破産事件の依頼者の通帳を確認すると、住所のある自治体から預金を全額差押さえられていた。このこと自体はたまにあることだが、差押られた預金通帳は、その自治体からの児童手当の支給口座のほか、依頼者の給与口座、アルバイト先からのアルバイト料送金口座に支給されていたものだった。

 

給与は、4分の1を超えて差押ができないので、この依頼者が給与手渡しの場合は、4分の1を超えて差押られることはなかっただろう。また、数日前に支給した児童手当をそっくりそのまま差押によって回収するという、喜劇のようなことは、児童手当が手渡しならば起こり得ない現象だろう。

 

頭に来たから、その自治体に4分の3についての返金は可能かを確認すると、「執行したから返せない」という。しかし、のちに事情が分かれば、法律に合わせる形で訂正するのが、自治体のあるべき姿勢であって、世の中の大人の知恵ではないのか。預金を差し押さえたのであって給与を差し押さえたのではない、と担当者はいうが、「ではあなたの給与は、手渡しなのか」と言いたい。依頼者の給与口座送金は、あくまでの手渡しの代わりに過ぎないのではないか。

 

あと、「児童手当は、何のために支給しているのか。自分から支給しておいて、それを全額回収してしまうというのは、どういうことなのか。」とも言ったが、無反応。「給与を全額持っていくということは、要するに、あなた方は市民に死ねということなのか」と言ったら、さすがに「違います」と回答してきた。
 
このような差押をそのまま通してしまう某都市銀行の姿勢も問題だと思うが、市民から「なんとかしてほしい」と懇願されても、平気でそれを無視する自治体も腹立たしい。
 
さて、どうしてくれよう。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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