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2014.04.02更新

 理研の論文調査結果が記者会見で公表された。

 認定事実についての根拠、認定経過などは不明だが、研究者(論文の著者)は認定結果に不服があるということだがら、不服申し立て→申立棄却&懲戒処分→訴訟、という流れになるだろう。

 理研にしても、認定事実が「事実」とすれば、当該研究者の今後の研究者人生は閉ざされることになりかねないから、認定プロセスは慎重にやったとは推定できそうだ。
 ただし、調査委員会の認定は常に正しいと考えるのは早計であり、予断であって、気を付けなければならない。

 ところで、理研が研究者本人から、どの程度の時間をかけて本件の事情を確認したのか、がよくわからない。
 また、研究者本人としても、論文の正当性への反証は、まさに論文の内容そのものの正確性や作成経過の証明であり、実験の再現可能性の立証や、論文の作成経緯や不正確なデータの混入した具体的な理由等になると思われるが、理研の研究室を使用せずしてそれがやれるのだろうか。

 研究者が理研を締め出される、あるいは、実験への参加を拒絶されるような場合は、論文の正当性への反証は、実験ノートや実験成果の記録メモ、論文作成までの他の研究者と交わした膨大なメールデータ、写真などによることは不可欠であろうが、理研の研究室からそれらを持ち出すことは、果たして可能なのだろうか。

 地位確認訴訟等に発展するのは不可避の情勢であるから、今後の推移を追ってみたい。
 

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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