弁護士ブログ

2005.09.01更新

 ヤミ金のからむ破産事件、任意整理事件の処理は、やっかいだ。
 ヤミ金は、客が事業者の場合、必ず客の取引先を聞き、客に社名を記名させ、実印を押させて債権譲渡人、ヤミ金が債権譲受け人とする債権譲渡通知書を内容証明郵便形式で作成させ(譲渡日時、客の取引先は白地)、客が返済に滞ると、これを客の取引先へ郵送する。ヤミ金は複数人で構成され(みんなグル)、債権譲渡通知書を客先に複数郵送し、その後、ヤミ金が何人かで繰り返し客の取引先へ債権譲受け人と称して脅かしの電話を掛ける。
 客は、取引先からの信用を失い、収入の道が途絶え、客の取引先は債権者が誰だか分からないからという理由で東京法務局へ弁済供託をする。
 すると、ヤミ金は、同意書(供託金の引き出しを一本化する書面。たとえば、ヤミ金A、B、Cがいた場合、供託金をAが引き出すことに同意するB、Cの書面)を法務局に提出し、法務局は債権者はCと確認がとれた、ということで供託金をCに払う。そして、この金をA、B、Cで分ける。

 こうやって、ヤミ金は法務局を通じて「安全に」お金を回収する(暴利が乗っかった、違法収益)を得ることが出来る。

 私も、昨年、裁判所の仮処分を取りながらも、ヤミ金に供託金を持っていかれれたことがある。
 頭にきたので、法務局を提訴し、同時にヤミ金を刑事告訴するなどの強気の態度を貫き、最終的にはヤミ金からもっていかれた供託金を全額回収し、かつ、現在、ヤミ金から慰謝料を徴収しつづけている。
 ヤミ金のやったことを考えれば、当然である。この件の依頼者は、家族にも取引先にも恵まれ、いまは破産もせずに立ち直っている。

 今回、別件の事件処理との関係で、依頼者の取引先から依頼者の売掛金(手形)を回収した。取引先へ手形の回収に行ったのは実ははじめてである。
 そもそも、経済的危機状態においての債権譲渡通知書の効力は、昨年の最高裁判決2件により無効とされている(正確には、破産管財人の否認権の対象となる)。

 そのため、ヤミ金の債権譲渡通知書など畏れることはないのであるが、脅迫電話などの嫌がらせの取引先への心理的威迫効果が大きいことも否めない。
 いま、この点をどう克服するかを検討しているところである。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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