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2006.09.07更新

 このテーマは、昔から議論があった。
 現在の刑事裁判では、被害者は人証でしかない。被害状況、被害感情を明らかにして、それを踏まえて刑事裁判における有罪無罪の認定、刑の量刑がなされていた。被告人が被害者と示談をすれば、被害回復がなされ、それは被告人にとって有利な情状となる。
 
 しかし、被害者はあくまで傍聴席で裁判を見守るしかない。自分がどうして被害にあったのか、につき直接被告人に問いかけることはできない。これは、検察官、裁判官の役目であり、それでよいとされてきた。
 本当によいだろうか。
 
 被害者は自分の権利を回復するためには民事事件を提訴しなければならない。新たに費用がかかるし、時間もかかる。どうして、被告人だけ権利保護といわれ、被害者の権利保護に司法関係者は鈍感なのか、というなんともいえないやりきれない気持ちが被害者には絶えず残る。

 そこで、今、刑事裁判に直接被害者が関与する方法やその是非が検討されていて、刑事関連法令の改正問題にもなっている。

 はっきり言えば、私は被告人が争っている事件でも否認している事件でも、罪体立証のための証人という立場での関与以上に被害者が裁判に関与するのは、反対である。
 被害者の生々しい供述の持つ問題点は、一度、刑事裁判で否認事件の弁護人を務めれば実感するところであり、被告人を裁くのが裁判官という人間である以上、被害者保護の流れがある以上、被告人という「悪人の味方をどうしてするのか」などと弁護人を非難する方が多数おられるのが日本の現状であることなどから、現状以上の刑事裁判への被害者関与は慎重であるべきだ。

 ただ、被害者の被害救済への便宜は絶対に必要であるから、刑事事件での証拠(被告人質問調書なども含むが、第三者のプライバシー保護を図る必要があるのは言うまでもない)の被害者への適切な提供などを実現する手段を作ることは直ちに行なうべきだ、と思う。

 
が実現できるように、 

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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