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2006.09.06更新

 新聞報道によると、最高裁判所は、父親(夫)の死後にその父親(夫)の精子を使って懐胎し、出産した女性(母親、妻)が生んだ子供と父親との親子関係を否定したようだ。
 法律が予定していないし、現実的な不利益(相続、養育など)がないことが理由らしい(らしいとしているのは、判決文を読んでいないから)。
 
 確かに、法律がない以上、最高裁判所も親子関係を認定できないだろう。また、相続とか親子関係という権利が絡み、ずっと続く関係を認定するにあたって、類推解釈による救済というのも少し行き過ぎであると思われる。
 結果的に、最高裁判所の判断は正しいと思う。
 
 しかし、いずれ子は成長し、自分の戸籍を入手することがあるだろう。 
 生まれたときから父親がいないことは理解できるが、自分の父親が誰か、という疑問に対して戸籍謄本は回答してくれない。父親欄が空欄になるからだ。
 このとき、母親が適切な説明を果たせるだろうか。。。。
 
 誰に育てられたか、と同じように、誰の子なのか、ということは、その人間の根本的なアイデンティティに関わる難問である。
 テクノロジーの発達により、今後もこのようなケースが増えるだろう。

 ぜひとも、立法による早急な解決が望まれるところだ。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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