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2006.10.04更新

 東京家庭裁判所での決定にある有名なご夫婦が東京高等裁判所へ抗告をしたところ、東京高等裁判所は東京家庭裁判所の決定を取り消し、行政に対して出生届を受理する決定を出した。
 人の出生は自然分娩によるとの法務省見解、及び、司法の一般的な考えから大きく前進した判断だったと思う。立法がないのに、よく東京高等裁判所は判断したと思う。
 ただ、おそらく本件は特殊な例であり、代理母出産に対して一般的に出生届を認めることまで容認したものではない。
 なぜなら、決定要旨を見る限り、このご夫婦が特別な事例であり、また、子供の福祉の観点からすれば、ご夫婦の出生届を認めないことの弊害のほうが大きいとされているからである。
 そういう意味では、一種の事例判断、救済判断であるといえる。

 確かに、時代は進歩した。今の民法が東京高等裁判所のいうとおり、代理母出産など考えも及ばなかったときに制定されたものであり、代理母問題はまさに現実と法との乖離が大きい分野といえる。
 ただ、この分野は倫理性の非常に高く難しい分野で国民の考え方も分かれる分野であるので、司法での判断はあくまで立法の隙間を埋めるための救済にとどめるべきであろう。

 しかし、東京高等裁判所の判断は、結論的にはよかったと思う。行政は特別抗告をしないほうがいい。
 このような判断をしたくて、裁判官志望者は裁判官になるのかな。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

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