弁護士ブログ

2006.10.04更新

 最高裁判所大法廷は、1票の格差が最大5.13倍になっても「定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとは言えない」と合憲判断を示し、請求を退けた1審・東京高裁判決を支持、有権者側の上告を棄却した。
 間接民主制度を採る以上、国民が国政において意見表明ができるのは、選挙以外にない。
 国民の国政に対する意見表明の場面において、投票価値に大きな較差があると、それは果たして民意を適切に反映しているといえるだろうか。
 おそらく、5,13倍も離れている投票価値のまま国政選挙が実施される国は、日本以外にない。
 裁判官のうち5名は違憲判断であったが、むしろ違憲というほうがすっきりとする。
 
 最高裁判所が違憲判断の影響を考えてしまって違憲判断を避けたのであれば、それは司法の職務放棄にならないか。
 最高裁判所は、在外日本人の投票権がないことは立法不作為のため違憲だと判断し、国に原告へ慰藉料を払うように認めている。このときは、「その通りだ」と思い、非常にスカッとしたのだが、今回は従前の判断を踏襲しただけのようである。

 もうそろそろ、投票価値についても2倍以内は違憲だという学説の多数説に近い判断をしてもいいのではないかな。

投稿者: ヒューマンネットワーク三森法律事務所

SEARCH

ARCHIVE

  • ヒューマンネットワーク 三森法律事務所
  • 弁護士ブログ
  • ヒューマンネットワーク 三森法律事務所
  • 弁護士ブログ