土曜日。
どうぜ、家族はいない。
だから、仕事をしてしまおう、ということで、午後から地方に出かける。
建築紛争は、実際に現場に行き、建築物を見てみないと真実が見えないことが多い。
建築物には、人間同様、それぞれ固有の歴史がある。
歴史的な建築物は、雄弁に事実を語る。
それゆえ、歴史を踏まえた建築物には、写真やビデオには決して写らない「真実」が現場にふわふわと浮揚していることがある。
だから、建築紛争事件では、適切かつ早期に解決するべく「真実」をつかむためには、とにかく現場を見るに限る。
現場には、意外な事実も眠っているからだ。
一方、裁判官は、ほとんど現場に行かない。
だから、現場を見た意地悪な弁護士に、ころっとだまされることがあると思う。
私は裁判所をだましたことはないが。